交通事故の腱板損傷の注意点

交通事故による腱板損傷が原因で可動域制限が生じているにもかかわらず、 適切な検査を受けなかったばかりに適切な後遺障害が認定されていない方が多い印象を受けます。

交通事故後、 肩を上に挙げることが出来ない、長期間に渡って肩の痛みが継続する方は、腱板損傷が原因の可能性があります。
特に、 自転車やバイクで転倒した際に肩を打ち、上記症状がある方は注意が必要です(鎖骨骨折などと診断された場合も腱板損傷を伴っている可能性があります。)。

腱板損傷の後遺障害等級

腱板を損傷した場合、以下の後遺障害等級が認定される可能性があります。

可動域制限の場合

ほとんど可動しない場合→8級10号
*腱板損傷が原因で、ほとんど可動しないということは稀だと思います(腱板断裂など他の原因を疑う必要があると思います。)。

可動域が、健康な側の肩と比較して 2分の1以下に制限された場合→ 10級10号

可動域が、健康な側の肩と比較して 4分の3以下に制限された場合→ 12級10号

痛みや痺れが残った場合

痛みや痺れの原因が医学的に証明できる場合→ 12級13号

痛みや痺れの原因が医学的に説明できる場合→ 14級9号

後遺障害が認定されるポイント

腱板損傷と診断されただけでは適切な後遺障害が認定されない可能性が高いことから注意してください。

腱板損傷と診断され、肩が上がらなくなったのだから、後遺障害が認定されると考えるのは不適切です。

最低限必要な検査

最低限、MRIの撮影を実施して下さい。
レントゲンやCTでは、通常、腱板損傷の有無や程度を確認することはできません。
必ずMRIの撮影を行ってください。

MRIは交通事故後早期に撮影

むち打ち損傷などでMRIを撮影するのは、交通事故から一定期間経過してから撮影しても問題がないことも少なくありません。

しかし、腱板損傷が疑われる場合には、 交通事故後、早急にMRIの撮影を行って下さい。

腱板を損傷した直後にMRIを撮影した画像には、損傷したことによって生じた出血等が輝度の変化(画像の変化)として表れることが大半です。

ところが、 受傷から時間が経過すればするほど、出血等が治まり、出血等に伴う画像変化が映り難くなります。

そうすると、腱板損傷は確認できるが、腱板損傷がいつ生じたものか、そもそも交通事故によって生じたものかが分からないことがあります。
出血等による輝度の変化が映っていれば、MRIを撮影した直前に腱板損傷が生じたことを証明する根拠となります。

交通事故後早期にMRIを撮影することをお勧めします。

造影剤撮影がお勧め

レントゲン等の撮影には、造影剤を注入したうえで撮影する撮影方法があります。
造影剤を注入することにより、もともの体内にある物質と明確に区別することが可能となりますので、正確な画像診断が可能となります。

腱板損傷の場合、注入された造影剤は、腱板の損傷した部分から流れ出ます。
腱板から造影剤が流れ出ていることより腱板が損傷していること、流れ出ている量によって腱板損傷の程度を明確にすることが出来ます。

デメリットは?

・造影剤撮影を実施してくれる病院を探す必要があること
・造影剤の注入に痛みを伴うこと
・造影剤が流れ出ることにより、修復を妨げる可能性があること
・損傷から時間が経過していた場合、十分な成果を得られない可能性があること
などでしょうか。

実際の認定結果

下記認定理由のとおり、自賠責は、腱板の部分損傷を認めながら、14級9号しか認定していません。

自賠責保険は、MRI画像で腱板の部分損傷が確認できただけでは、痛みや可動域制限の原因が医学的に証明できているとは判断しないということなのでしょう。

相談者の中には、
「医師が腱板損傷と診断しているし、MRI画像にも腱板の損傷が映っているので、12級は認定されますよね?」と仰る方がおられます。

しかしながら、自賠責保険の実際の認定を知っている者からすると
「その通りです」とは答え出来ません。

交通事故の被害者に難しい証明を強いる自賠責保険の運用に日々疑問を感じてはおりますが、実際の運用がそうである以上文句を言っていても仕方がないのではないでしょうか?

腱板損傷の後遺障害でお悩みの方へ

大阪鶴見法律事務所では、
交通事故早期にご相談頂いた方につきましては、 交通事故の治療に強い整形外科をご紹介しております。

腱板損傷の疑いがあり、造影剤撮影が必要であると判断した場合には、 協力医のもとで造影剤撮影を実施し、後遺障害の申請を行います。

造影剤撮影は、交通事故後早期に実施する必要があります。

交通事故後、腱板損傷と診断された方、肩が上がらない方、肩の痛みが酷い方は、 交通事故後早期に大阪鶴見法律事務所にご相談ください。