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交通事故で脊椎損傷・頸髄損傷を受傷したら

2026.09.29

脊髄損傷・頸髄損傷の後遺障害

交通事故では、車同士の衝突やバイク事故、歩行者事故などによる強い衝撃によって、背骨(脊椎)やその中を通っている脊髄を損傷することがあります。
特に、首の部分にある脊髄(頸髄)が損傷すると、手足のしびれや麻痺、筋力低下、歩行障害などの重い症状が残ることがあります。
重度の場合には四肢麻痺となり、食事、着替え、入浴、排泄、移動などの日常生活において、常時または随時の介護が必要になることもあります。
交通事故による脊髄損傷・頸髄損傷では、後遺障害等級によって慰謝料や逸失利益などの賠償額が大きく変わる可能性があります。
そのため、事故後の早い段階から適切な検査を受け、麻痺の状態や日常生活への影響を医学的な記録として残しておくことが重要です。

脊椎損傷と脊髄損傷の違い

「脊椎」と「脊髄」は似た言葉ですが、医学的には異なるものです。
脊椎とは、いわゆる「背骨」のことです。
これに対して、脊髄とは、脊椎の中を通っている中枢神経であり、脳と手足などの身体各部との間で情報を伝達する重要な役割を担っています。
交通事故によって脊椎を骨折・脱臼すると、その衝撃や圧迫によって脊髄まで損傷することがあります。
そして、脊髄のうち首(頸椎)の部分を通っているものが「頸髄」であり、ここを損傷することを「頸髄損傷」といいます。

頸髄損傷で残る可能性のある症状

頸髄を損傷した場合、損傷した部位や程度によって症状は異なります。
代表的な症状として、
・両手・両腕のしびれや麻痺
・両足のしびれや麻痺
・手指を細かく動かしにくい
・握力が低下する
・筋力が低下する
・感覚が低下する
・歩行が困難になる
・歩行時にふらつく
・自力で立つことが困難になる
・排尿や排便に障害が生じる
などがあります。
重度の頸髄損傷では、両腕と両脚に麻痺が生じる四肢麻痺となり、日常生活の多くについて家族や介護者の援助が必要になることもあります。

完全損傷と不完全損傷

脊髄損傷は、大きく「完全損傷」と「不完全損傷」に分けられます。
完全損傷では、損傷した部分より下の運動機能や感覚機能が失われるなど、重い症状が生じることがあります。
これに対して不完全損傷では、脊髄の機能が一部残っているため、一定の運動機能や感覚が残ることがあります。
そのため、
「少し歩くことができる」
「手足をある程度動かすことができる」
という場合であっても、脊髄損傷による後遺障害が否定されるわけではありません。
どの部位に、どの程度の麻痺が残っているのかを具体的に確認することが重要です。

脊髄損傷・頸髄損傷の後遺障害等級

交通事故によって脊髄や頸髄を損傷し、手足の麻痺などが残った場合には、後遺障害等級が認定される可能性があります。
もっとも、「頸髄損傷」という診断名が付いているだけで、後遺障害等級が決まるわけではありません。
脊髄損傷による後遺障害では、
・麻痺が生じている範囲
・麻痺の程度
・介護の必要性
・歩行能力
・日常生活への影響
・仕事への影響
・MRI、CTなどの画像所見
・筋力、知覚、反射などの神経学的所見
などを踏まえて後遺障害等級が判断されます。

脊髄損傷の後遺障害等級の基準

脊髄損傷によって神経系統の障害が残った場合には、障害の程度に応じて、主に以下の後遺障害等級が問題となります。

別表第一第1級1号

「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」
重度の四肢麻痺などによって、生命維持に必要な身の回りの処理について常時介護を必要とするような場合が問題となります。
頸髄損傷によって重い四肢麻痺が残った場合に、特に問題となる等級です。

別表第一第2級1号

「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」
第1級ほどではないものの、日常生活を送るうえで随時他人の介護を必要とする場合が問題となります。

第3級3号

「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」
身の回りのことは自分で行うことができるため常時・随時の介護までは必要としないものの、麻痺などの障害が重く、仕事をすることができない状態などが問題となります。

第5級2号

「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」
通常の仕事をすることは難しいものの、極めて軽い仕事であれば行うことができる程度の障害が残った場合などが問題となります。

第7級4号

「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」
脊髄損傷による麻痺などによって労働能力が大きく制限され、比較的軽い仕事にしか従事できない場合などが問題となります。

第9級10号

「神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」
一定の就労は可能であるものの、脊髄損傷による障害によって仕事内容などが相当程度制限される場合などが問題となります。

第12級13号

「局部に頑固な神経症状を残すもの」
脊髄損傷による神経症状が医学的に証明できるものの、麻痺による運動障害が比較的軽い場合などには、第12級13号が問題となることがあります。

後遺障害等級では麻痺の「範囲」と「程度」が重要

脊髄損傷の後遺障害等級を検討するうえで特に重要なのが、麻痺の範囲と程度です。
麻痺の範囲については、例えば、
四肢麻痺
両腕と両脚に麻痺が生じている状態
対麻痺
両脚または両腕に麻痺が生じている状態
単麻痺
片方の腕または片方の脚に麻痺が生じている状態
などがあります。
さらに、麻痺の程度についても、高度、中等度、軽度などに分けて検討されます。
したがって、同じ「頸髄損傷」と診断されていても、重度の四肢麻痺が残っている場合と、手足の一部に軽い麻痺が残っている場合とでは、認定される後遺障害等級が大きく異なる可能性があります。

MRIなどの画像所見が重要

脊髄損傷・頸髄損傷の後遺障害等級認定では、本人が訴えている症状だけではなく、症状を裏付ける客観的な医学的所見が重要です。
具体的には、
・MRIによる脊髄の圧迫・損傷などの所見
・CTによる脊椎骨折などの所見
・筋力検査
・知覚検査
・腱反射
・病的反射
・歩行状態
・膀胱直腸障害の有無
などを確認することになります。
特にMRIは、脊髄の圧迫や損傷の状態を確認するうえで重要な検査の一つです。
事故後に手足のしびれ、麻痺、筋力低下、歩行障害などが続いている場合には、必要に応じて専門医を受診し、適切な画像検査や神経学的検査を受けておくことが重要です。

日常生活への影響も重要です

脊髄損傷・頸髄損傷では、画像や検査結果だけではなく、実際の日常生活にどのような支障が生じているのかも重要です。
例えば、
「一人で歩くことができない」
「杖や車椅子が必要になった」
「階段の上り下りができない」
「ボタンを留めることが難しい」
「箸をうまく使うことができない」
「一人で入浴することができない」
「排泄に介助が必要になった」
「事故前に行っていた仕事ができなくなった」
などの事情です。
単に「手足がしびれる」「歩きにくい」と伝えるだけではなく、事故前にできていたことのうち、事故後に何ができなくなったのかを具体的に医師へ伝え、診療記録などに残しておくことが重要です。

脊髄損傷では将来の介護費が問題になることがあります

重度の脊髄損傷によって介護が必要となった場合、交通事故の損害賠償では、後遺障害慰謝料や逸失利益だけでなく、将来介護費が大きな問題となることがあります。
さらに、障害の内容によっては、
・車椅子などの器具・装具費
・介護用ベッド等の費用
・自宅のバリアフリー化などの住宅改造費
・自動車の改造費
・通院交通費
・将来必要となる治療費等
などについても検討が必要となる場合があります。
脊髄損傷は、被害者本人だけではなく、ご家族の生活にも長期間にわたって大きな影響を及ぼす可能性があります。
そのため、現在発生している損害だけではなく、将来の介護や生活環境まで考慮して損害額を検討することが重要です。

後遺障害等級によって賠償額が大きく変わる可能性があります

脊髄損傷・頸髄損傷では、認定される後遺障害等級によって、後遺障害慰謝料や逸失利益などの賠償額が大きく変わる可能性があります。
特に重度の麻痺が残り、将来にわたって介護が必要となる場合には、将来介護費なども含め、損害額が高額になることがあります。
そのため、保険会社から示談金を提示されたとしても、すぐに示談するのではなく、
「症状に見合った適切な後遺障害等級が認定されているか」
「逸失利益や将来介護費などの損害が適切に評価されているか」
を確認することが重要です。

脊髄損傷・頸髄損傷は交通事故に詳しい弁護士へご相談ください

脊髄損傷・頸髄損傷は、交通事故による後遺障害の中でも、医学的・法的な検討が特に重要となる傷病の一つです。
適切な後遺障害等級の認定を受けるためには、症状固定後に初めて対策を始めればよいとは限りません。
事故後の早い段階から、
・どのような検査を受けているか
・MRIやCTなどの画像所見があるか
・麻痺の範囲・程度が適切に評価されているか
・筋力低下や知覚障害などの神経学的所見が記録されているか
・日常生活への影響がカルテ等に記録されているか
・後遺障害診断書に必要な症状や所見が適切に記載されているか
などを確認しておくことが重要です。
弁護士法人大阪鶴見法律事務所では、交通事故による脊髄損傷・頸髄損傷などの重大事故について、後遺障害等級認定から損害賠償請求までご相談をお受けしています。
大阪市鶴見区をはじめ、大阪で交通事故による脊髄損傷・頸髄損傷の後遺障害についてお困りの方は、弁護士法人大阪大阪鶴見法律事務所までご相談ください。

弁護士法人大阪鶴見法律事務所では、医師と弁護士が連携して交通事故・自転車事故の被害者を全面的にサポートします。

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