交通事故

自転車事故に遭った場合どうすれば良い?

2022.02.03

自転車事故に遭った場合どうすれば良い?

自転車事故に遭った場合、事故後どのように対応すれば良い?、治療費は誰が払ってくれるの?、慰謝料はいくらもらえるの?、示談交渉はどうやってするの?
などの様々な不安を抱かれる方が少なくないと思います。

自転車事故に限らず、交通事故に遭われた方はこのような不安を抱くことが多いかと思いますが、自転車事故については、自動車やバイクなどの車両が絡む自動車事故とは異なる側面があることから、自動車事故との違いや対処方法について解説します。

自転車事故と自動車事故との違い

自転車事故で被害を受けた場合、自動車事故の場合と同様、加害者に対し損害の賠償を請求することが出来ます。
自転車事故だからという理由だけで慰謝料等が低額になることもありません。
したがって、自転車事故の場合も自動車事故の場合も加害者に請求しうる損害額は同じであると考えて問題ありません。

近年、自転車事故の加害者が、高額の賠償金の支払いを命じられる裁判例が増えていることからも、自転車事故であっても高額の賠償責任を負うことは明らかだと思います。

しかしながら、自転車事故と自動車事故とでは、加入している保険の有無や種類に大きな違いがあります。

そのため、自転車事故に遭った場合に、被害者が取るべき対処方法も異なります。

しっかりと理解して間違った対応をしないように心がけましょう。

自転車事故の裁判例1

歩行者原告と被告の子(当時11歳。)が運転する自転車とが衝突した事故で、原告が、子の唯一の親権者である被告に対し、監督者責任(民法714条1項)に基づく人的損害賠償金等の支払、原告が契約する保険会社が原告に対し人身傷害補償保険金を支払ったことによる求償金等の支払を求めた事案。
神戸地方裁判所(平成25年7月4日判決)は、原告に対し人的損害賠償金3520万7092円、原告保険会社に対し求償金5999万9990円の支払いを命じた。

自転車事故の裁判例2

歩道上で原告運転の自転車と被告運転の自転車が衝突した事故で、原告が、被告に対し、損害賠償を求めた事案。
大阪地方裁判所(平成26年3月25日判決)は、被告には本件事故現場にある柱の前を左折するに際し、柱の陰から出てくるかもしれない歩行者や自転車の有無及びその安全を確認して進行すべき注意義務等を怠った過失があるとし、他方、原告も同様の過失ないし落ち度があったとして、自転車を押して歩いていた原告と、自転車に乗っていた被告との過失割合を2対8とし判断した。
そのうえで、被告に1040万8716円の支払いを命じた。

自転車事故と自動車事故の保険の違い

車両の運転者は、自賠責保険に加入する義務があることから、自動車事故の場合には、通常、自賠責保険から治療費等の賠償金が支払われます。
また、車両の運転者は、自賠責保険に加えて、任意保険に加入していることが一般的であることから、自賠責保険の上限を超える賠償金については任意保険から支払われることが一般的です。
従って、自動車事故については、自賠責保険や任意保険に加入していない例外的な場合を除いて、自動車保険から賠償金の全額が支払われることが一般的です。
そのため、自動車事故の場合には、運転者が加入する保険会社の担当者が窓口となり、治療費の支払いや休業損害の支払いを受けることが一般的です。

しかしながら、自転車については、自賠責保険の適用はなく、自転車保険等に加入していない人も少なくありません。
そのため、自転車の事故に遭った場合、加害者の方と直接やり取りをして、加害者本人から、治療費、休業補償、慰謝料等の賠償金を受け取る必要がある場合も少なくないのです。

なお、自転車事故の加害者が自転車保険に加入している場合には、保険会社の担当者が窓口になることが大半で、治療費等を病院に支払ってくれるなど自動車事故と大きな違いがないことも少なくありませんが、その場合でも、自賠責保険の適用がないことにより難しい対応を強いられることがありますので、加害者が自転車保険に加入しているからといって安心してはいけません。

自賠責保険の役割について

自賠責保険の役割➀

自賠責保険は、交通事故の被害者に対し最低限の補償をする役割を担っています。
したがって、自動車事故の場合については、万が一、加害者が任意保険に加入していなかった場合でも、自賠責保険から最低限の補償を受けることができます。

一方、自転車事故の場合は、自賠責保険の適用がありませんので、賠償金は直接加害者に請求することが必要です。
万が一、加害者が全くお金を持っていない人であった場合には最低限の補償をして貰うことが出来ない可能性もあります。

もっとも、加害者が自転車保険に加入している場合には、賠償金の支払いという観点からは、自賠責保険の適用がないことによる不利益はありません。

自賠責保険の役割②

自賠責保険は、最低限の補償を行うに際して、損害額を調査するといった役割も担っています。

たとえば、自動車事故で重度の怪我をして後遺症が残存した場合、自賠責保険は、専門的な第三者機関を通じて、後遺障害の有無・程度を判断し、後遺障害の等級に応じた補償を行います。
要するに、自賠責保険は、被害者が後遺障害が残存したと主張する場合には、被害者が提出した資料を基に後遺障害の等級を認定しているのです。

一方で、自転車事故には、自賠責保険の適用がないことから、後遺障害の等級を認定する専門的な第三者機関による認定を受けることは出来ません。
そのため、自転車事故で後遺障害が残存した場合には、被害者は、自賠責保険の認定に基づくことなく、加害者本人若しくは加害者が加入する自転車保険の担当者に対し、後遺障害が残存したことやその等級を主張する必要があり、万が一、裁判になった場合には、自らの後遺障害の等級を証明する必要があるのです。

しかしながら、後遺障害の等級を判断には高度な医学的な知見が必要であり、医学的な知見のない素人が、自らの後遺障害を証明することなど不可能といっても過言ではありません。
交通事故を多く扱っている弁護士ですら、後遺障害を証明することが困難であることを理由に、自転車事故の受任を断ることも少なくありません。
要するに、弁護士ですら、医師の協力を得ることが出来なければ、後遺障害を証明することは困難なのです。

自転車事故に遭ったら具体的にどうすれば良い?

ケガ人の救護

自転車事故についても、自動車事故と同様、ケガ人の安全確保が最優先となります。
ケガをしている場合には、救急車を手配して貰うなどして病院を受診してください。

警察への届け出

自転車事故にも事故であること変わりませんので、必ず警察へ届け出を行ってください。
警察に届け出を行わなければ、交通事故証明書を入手出来なかったり、実況見分調書が作成されませんので、後日、トラブルになった際にも事故自体の遭ったことを証明することが困難になる場合もあります。

自転車事故であるからといって、その場で示談にして、警察に連絡しないなどといった対応は絶対に避けて下さい。

相手方と連絡先を交換する

自転車事故の場合、相手方と直接示談交渉を行わなければならないことも少なくないことから、相手方の連絡先を聞いたり、自転車保険の加入状況を確認することが必要です。
万が一、相手方が自転車保険に加入していない場合には、その後の治療費等の支払いをどうするかを確認しておくのも良いかもしれません。

病院を受診する

怪我をしている場合には、必ず病院を受診してください。
痛みを感じている部位については、全て医師に伝えて、カルテ等に記録しておいて貰うことがポイントです。
後日痛みが増して来ることはよくあることですので、痛みを感じているにもかかわらず、大したことはないと考えて、医師に伝えないなどといったことは絶対に避けて下さい。

その後、痛みが続いている間は、定期的な通院を心がけて下さい。
通院していることが痛いが続いていることの一つの証明になりますので、通院をしていなければ、痛み等が治ったと判断される可能性があります。

通院日数が極端に少ない場合、本来貰えるべき慰謝料が減額されたり、本来認められる後遺障害が認められないこともありますので注意して下さい。

週に2日~3日程度、通院することがポイントです。

治療費については、加害者が自転車保険に加入している場合には保険会社が直接病院に支払ってくれることが多いと思いますが、自転車保険に加入していない場合には、一旦立て替えて支払って、後日精算することが必要となります。

大きな病院は定期的な通院が困難であることが少なくありませんので、その場合には、定期的な通院が可能な街の整形外科に転院することを検討して下さい。
なお、整骨院での治療は後々トラブルになることがありますので、医師の同意が見込める場合以外は、整骨院での治療は避けて下さい。

万が一、大きな怪我をして、後遺症が残存する可能性がある場合には、適切な時期に、適切な検査を行い後遺障害の証明に備える必要がありますので、早めに弁護士等の専門家にご相談されることをお勧めします。

示談交渉について

自転車事故に限らず、交通事故の賠償金は、通院が終了し、後遺障害の有無が判明するまで計算することが困難です。
そのため、示談交渉は、通院が終了した後、後遺障害の有無が確定した段階で行うことが一般的です。
後々思わぬ後遺症が判明することも少なくありませんので、通院が終了していない段階で示談交渉を行うことは避けた方が無難だと思います(保険会社が窓口になっている場合には、治療が終了した段階で示談の話がなされることが一般的です。)。
少なくとも事故直後に示談交渉を行うことは絶対に避けて下さい。

示談交渉のは、自転車事故の加害者が保険に加入している場合には保険会社と、保険に加入していない場合には加害者本人と行う必要があります。

治療期間が3カ月程度の場合には賠償金の額もそれ程高額にならないことから、当事者同士で示談交渉を行うことも可能かもしれません。
しかしながら、通院期間が半年を越えたり、後遺障害が残るような大きな怪我をした場合には、賠償金の額も高額になること多いことから、必ず弁護士に相談することをお勧めします。

自転車事故にも弁護士費用特約が使える場合がある

自転車保険等に弁護士費用特約がついている場合、自分が自転車で相手が自動車の事故であれば問題なく弁護士費用特約を利用できます。

また、自転車同士の事故の場合でも、自動車事故以外の日常事故で被害者になった際の弁護士費用を負担してもらえる日常事故弁護士費用特約がついている場合には弁護士費用特約を利用することができます。

自転車事故における弁護士選びのポイント

自転車事故は、交通事故を多く扱っている弁護士にとっても難しい案件であることが大半です。
少なくとも自動車事故とは全く異なる側面があることから、弁護士選びはくれぐれも慎重に行って下さい。
間違っても、交通事故を多く扱っている弁護士という理由だけで弁護士を決めることは避けた方が良いと思います。

後遺症が残るような大きな怪我をした場合には、最低限の医学的な知識があり、かつ、医師の協力を得ることができる弁護士に依頼する必要があります。

特に後遺症が残るような大きな怪我をされている場合は、必ず、弁護士に、医学的な知識があるかどうか、医師の協力を得ることができる状況にあるのかどうかを確認したうえで依頼するように心がけて下さい。

大阪で自転車事故に強い弁護士をお探しの方へ

大阪鶴見法律事務所では、自転車事故についても初回無料相談を行っております。
大阪鶴見法律事務所では、交通事故の被害者を多く治療されている医師の紹介も行っております。
大阪鶴見法律事務所では、医師と弁護士が連携して交通事故・自転車事故の被害者を全面的にサポートします。

大阪で交通事故・自転車事故に強い弁護士、後遺障害に強い弁護士をお探しの方は、交通事故後・自転車事故後早期に大阪鶴見法律事務所にご相談ください。

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