交通事故の損害賠償は医師の診断に依存している
交通事故の賠償は,医師の診断に依存している部分が極めて大きいと言えます。
訴訟に至るまでに不適切な検査・診断を受けていた場合には,訴訟において挽回することは困難です。
交通事故における医師の役割
医師は,交通事故の被害に遭った被害者を治療するという役割を担っており,この点は,皆様も十分お分かりだと思います。
しかし,それ以外に,医師が,裁判に必要な証拠を作成するという役割を担っているということまで理解している人は少ないと思います。
もしかすると,多くの医師も,自分が裁判に必要な証拠を作成しているということを全く認識していないかもしれません。
なぜなら,医師は,患者を治療して治すのが仕事であり,そもそも治療以外のこと力を注ぐ必要はないからです。
交通事故の被害者にとって良い医師
交通事故以外で,病院にかかる場合においては,医師が治療に熱心に取り組んでくれれば,その医者は,患者にとって,とても良い医師と言えます。
しかし,治療に熱心な医師が,交通事故の被害者にとって,良い医師であるとは限りません。
なぜなら,医師が,いくら熱心に治療を行ったとしても,被害者の事故後の状況を正確に記録し,それを残しておいてくれなければ裁判になった際に,十分な立証ができず,結果的に交通事故の被害者が不利益を受けることがあるからです。
交通事故の被害者にとって良い医師とは,治療に熱心であり,かつ,裁判になった際のことも考慮して検査等を行ってくれる医師であるといえます。
悪い例を使って説明していきます。
交通事故の被害者にとって悪い医師
例えば,信号待ちで停車していたところ,後ろから来た車に追突されて,首に激痛が走ったとします。
その際,多くの人は,まずは近くの整形外科に行って,医師に対して,「信号で停車していたら,後ろから追突されて,首が痛い。」と言うと思います。
もし,その医師が,交通事故を多く扱っている医師であれば,CTやMRIの撮影を行い,診断書に痛みの具体的な内容を記載してくれると思います。
しかし,上記のような場合に,「むち打ちですね。とりあえず湿布を出しておきますので,1~2週間様子を見ておいて下さい。」という医師も少なくありません。
そして,数カ月しても全然改善が見られないことから,ようやくCTやMRIなどの検査を行って,今後の治療方針を考えるというケースも往々にしてあります。
このような診察が,医師の診察として,間違っている訳ではありません。
なぜなら,医師の仕事は,最終的に患者の怪我を治すことですので,様子を見ながら,次の治療方法を考え,最終的に怪我が治ればそれで良いからです。
しかし,交通事故の損害賠償を請求するという観点から見た場合,良い方法であるとは言えません。
なぜなら,事故から半年してから撮影されたCTやMRIには,事故直後にしか映らない所見はもちろん映りませんし,また,何らかの異常が認められたとしても,その異常が事故によって生じたものであると立証することは困難であるからです。
上記のような事情に加えて,事故直後の診断書に,医師が,患者の訴えを適切に記載していなかったという事情が加わればもう最悪です。
もちろん,上記のような事故においても,痛みが完全になくなれば何の問題もありません。
しかし,中には,長期間治療を行ったが,完全に痛みが取れないという場合もあります。
その場合,通常は,後遺障害の等級認定を受けて,その等級に見合った賠償を得ることになりますが,上記のような治療経過で,後遺障害の等級認定を受けることは極めて困難であるといえます。
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