交通事故での理想の通院日数
交通事故の被害者の方から,「どのくらいのペースで通院するのが理想ですか。」との質問を受け,答えに困ることがよくあります。
そこで,交通事故に遭った場合,どのぐらいの頻度で通院すれば良いかを考えていきます。
通院ペースを気にする理由
なぜ,交通事故の被害者が通院のペースを気にするか分からない方もいるかと思いますので,まず通院のペースを気にする理由について簡単に説明します。
通院のペースを気にする最大の理由は,交通事故の通院慰謝料が,通院日数に応じて支払われるからです。
もっとも,通院日数が増えれば増えるほど慰謝料が高額になるわけではなく,一定の通院日数(便宜上,「理想の通院日数」と呼びます。)を超えると,それ以上通院を重ねても通院慰謝料は増加しません。
交通事故の被害者は,このような事情について何となく知っていることから,冒頭のような質問をするのだと思います。
答えが難しい理由
冒頭の質問に答えるのが難しい理由として主に二つの理由が挙げられます。
1つ目の理由は,交通事故直後の段階では,被害者は,最終的にどのような手続きで解決するかまで決めていないことが挙げられます。
ご存知の方も多いと思いますが,通院慰謝料の計算方法は複数あり,それぞれ計算方法が異なります。
したがって,どの計算方法を念頭において通院するかによって,理想の通院日数が異なってきます。
例えば,自賠責保険基準では,通院日数に2をかけた日数と通院期間の少ない方を基準に通院慰謝料が計算されます。
一方,赤い本の基準では,通院日数に3.5をかけた日数と通院期間の少ない方を基準に通院慰謝料が計算されます。
したがって,自賠責保険基準での解決を望む人にとっては理想の通院日数でも,赤い本の基準での解決を望む人にとっては通院し過ぎということになります。
また,赤い本の基準は,弁護士に依頼した場合や訴訟を提起した場合以外には通常適用されません。
したがって,本来,弁護士に依頼するか否かを決めなければ理想の通院日数を算出することは出来ないのです。
しかし,事故直後にそこまで決めている人は少ないことから,答えが難しいのです。
2つ目の理由は,理論上は,理想の通院日数を算出することが可能であるとしても,それが医師の治療方針と合致するとは限らないからです。
例えば,自賠責保険基準で計算した場合,理想の通院日数は,月15日程度になりますが,全ての医師が,週に4日通院するように指示するとは限りません。
通院は,治療目的でなされるのが大原則であり,医師の指示に反して通院日数を増やしたり減らしたりすることは治療効果を減殺する可能性があります。
したがって,交通事故被害者を実際に治療している医師の治療方針が分からなければ,理想の通院日数を算出することは出来ないのです。
間違った通院
理想の通院日数の算出が難しいとしても,間違った通院をすることだけは避けなければなりません。
通院日数が極端に少なければ,痛みが軽いのではないかとの疑いが生じますし,因果関係が争われる原因にもなりかねません。
また,仮に治療に長期間要したとしても貰える通院慰謝料は極めて少額なものとなります。
一方で,通院日数が極端に多ければ,当然その分の治療費がかさむことになりますので,自賠責保険の支払限度額である120万円を早期に超え,早期に治療費を打切られる可能性が高まります。
適切な通院
上記のようなことを考慮すると,通院日数が,月8日~12日程度(週2~3日程度)であれば適切な治療日数ということになるのではないでしょうか。
この数字から極端に離れている方は,何が原因であるかを考えてみてください。
その原因が,医師から「2週間程度様子をみて痛みがあれば来て下さい。」と言われたからである人,又は,整骨院の先生に「とにかく毎日来て施術を受けて下さい。その方が慰謝料が増額しますよ。」と言われたからである人は要注意です。
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怪我の状況は様々ですので,理想の通院日数は人それぞれです。
交通事故被害者にとっては,良い医師のもとで,治療に専念することが最も重要です。
くれぐれも誤った通院をすることだけは避けましょう。
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